いわゆる、ちょっと怖めの空飛ぶ車です。
2020年2月17日、ついに、マルチコプタータイプの有人機が実用的機動性を得た。自作FPVドローンもマルチコプターの一種だが、まだ、自分が乗る勇気はない。
イタリアのF1レーシングチーム、Toro Rosso によるモノコックカーボンフレームで、ファイアーウォールを介して前部のバッテリーコンパートメントには24パックのバッテリーが搭載されている。
FliteTest のYoutubeチャンネルより
マルチコプタータイプの有人機
この機体は、ヘクサコプターのレイアウトで、同軸モーターレイアウトとしているため、12モーターとなっている。スペックは以下の通り。
- 乾燥重量: 98kg
- Motors: 12基
- PS/馬力: 22馬力
- 静止スラスト: 300kg
- Top speed: 140 km/h
- バッテリーの詳しい情報は不明
フェイルセーフ
自作FPVドローンで一番怖いのは、コントロールコネクションが途切れて、どこかにフライアウェイしてしまうことだ。そのために、もしコントロールコネクションが途切れたら、強制的に墜落させるように、多くの人は設定している。コントロールコネクションが生きていれば、変な挙動をした場合は、操縦者の意思で、墜落させることも出来る。しかし、人が乗る場合は、そうはいかない。この機体が、ヘクサコプターのレイアウトを同軸化しているのは、1つのモーターが止まっても直ちに墜落に至らないようにする為だろう。また、ピッチの浅いローターブレードを使って1台当たりのモーターの負荷を低めに分散することで、安全マージンを稼いでいるようだ。
動画で、見る限り、コントロールは、基本的に自作FPVドローンとあまり違いが無いようだ。実際に人が乗って操縦するためには必要な計器や安全装置が必要だろう。
システムの冗長性
空飛ぶ車として人が安心して乗ることができるためには、システムの冗長性がどれだけ備わっているのかが、重要だ。ヘリコプターは万が一、エンジンが停止しても、オートローテーションを行って、安全に着陸することができる。エンジンを複数乗せることも、システムの冗長性の一つだ。
オスプレイは、オートローテーションができないが、もし1基のエンジンがストールしても、左右のエンジンはシャフトで機械的に繋がっていて、一基のエンジンでも飛行が維持できるようになっている。
それでは、マルチロータータイプの有人機の場合は、どのようにシステムの冗長性を保っているのだろうか。FCは当然バックアップの為、複数搭載しているだろう。モーターの数を増やしているのも、冗長性をあげるためだろう。
パワー半導体の信頼性
自作FPVドローンを飛ばしている方は、たくさんのESCを焼いてきただろう。私もこの部品は、いつ燃えても、おかしくないとあきらめているが、有人機の場合、燃えました!では済まされない。信頼度の高い、大容量のパワー半導体が出現してくれないと、私は、まだ自分が乗る気にはなれない。近未来のモビリティとして、ドバイにあるような、ビルの屋上から別のビルに移動する手段として活用していく、未来図を、よく目にするが、雷を被雷したら?ESC一発アウトやろ!と異常に憶病になってしまう。
近未来のモビリティ
近未来のモビリティとして注目されている空飛ぶ車だが、実際は、地上を走る車の自動運転化より、パワー半導体の信頼性が上がれば、技術的敷居は低いと思う。自分で操縦しないで、オペレーターが、遠隔で複数の機体を制御する、あるいは、完全に自立自動飛行するのであれば、コクピットなしで、すべてのスペースを客室に使えるし、空中は、歩いてくる障害物も無ければ、信号も段差もない。ただ万が一のエアバックの様な何かが欲しい。今の状態では、飛行中に何かあったら終わり。Toyota やNEC等大手企業がこの分野に参入し始めているが、まだ、私には乗る勇気が持てないのだ。
航空法?
このDRLの機体も、ドイツで開発、製造されたが、法的認可が取れないために、クロアチアの空港で飛行している。世界中でドローンに対する制限的なルールが主流となりつつある昨今、この空飛ぶ車は、法律でどのように定義され、社会に溶け込んでいくのか、大変興味深い。飛行機と違い、地面の表層を飛ぶこれらが、落ちた場合の被害は、自動車事故よりも、確実にシリアスなのは誰もが想像がつく。