衛星の運航情報
人工衛星を用いた全地球測位システムは、軍によって運営、管理されています。そのため、そのシステムを管理する国家が軍事的に作戦を行っている場合、その作戦対象地域での精度が最も高まるように運営されるため、衛星の軌道により、一日のなかで、位置測位精度が落ちる時間帯が発生する可能性があります。GNSSシステムの測位には、最低4つの衛星が放送する位置情報と時間情報が必要です。そのため、飛行時の衛星運行情報をあらかじめ入手しておくことは重要です。
1991年に起こった湾岸戦争から、本格的に利用が進み、民間に開放され広く使われるようになりました。
現在では、アメリカのGPSだけではなく、ロシアのGRONASS、中国のBeidou,EUのGalileoなどが運用されています。
GPSの基本精度
GPSの基本精度は、あまり高くなく、半径5mで1Hzの測位が基本です。この制度だと片側2車線両側4車線の道路のどちら側を歩いているかがわからない制度です。そのため、GPS以外にGRONASSなど、複数の測位システムを組み合わせて、精度向上を図り利用されています。
また、ドローンでは移動速度が速いのでUbloxのチップを使ったGPSモジュールでは1~18Hzまで、測位アップデート頻度を変更することも出来ます。
日本のみちびき
日本のみちびきという、準天頂衛星は、他のシステムのように完全なGNSSシステムではなく、アメリカのGPSを補完する衛星で、日本とオーストラリア近辺の上空を8の字を書いて周回する、準天頂衛星であるため、衛星の運用機数が少ない現在では、精度が落ちる時間帯が生じます。
そのため、衛星の現在位置を知ることによって、測位精度を高く保つことが可能です。
衛星運行情報は、スマートフォンのアプリケーションなどで取得が可能です。
- GNSS View (アプリ)
Real-time kinematic (RTK)
地上にベースステーションを設けて、その位置を使ってGNSSをリアルタイムに補正する技術があります。RTKを用いることで、測位精度を、一気にcm単位まで上げることが可能です。
移動しないベースステーションを設置し、一定時間に位置情報をため込んで、その位置の絶対値に限りなく近い近似値を習得します。コールドスタート時は、位置情報の蓄積に5-10分の時間を必要とします。
ベースステーションの位置情報を、移動体に送り、移動体の受信するGNSSをベースステーションから得た情報を基にリアルタイムに補正するシステムです。
RTK化することによって時間に関係なく、高い精度での測位が可能になる。オルソスキャン時や、DSMデータ作成時には必須になっている。また、GNSS測位はZ方向の測位が苦手です。そのため高さの測位は、気圧や、超音波、画像を使うことが一般的です。
ベースステーションを使わない方法
複数の携帯キャリアが、補正用の位置情報を配信するサービスを行っており、ベースステーションが無くてもRTKを用いることが可能だ。ただしキャリアのサービスなので使用料金が別途必要となります。
マルチパス
地面や水面、建物に反射したGNSSシグナルを受信してしまうことによって、測位精度が下降します。もう、飛ばしている方はいないかもしれませんがDJIのphantom2では、マルチパスを防ぐためにGPSアンテナの下に、アルミ箔が貼られていましたね。RTKのベースステーションでも、マルチパスを防ぐためにアルミ板を使っています。
FixedWingは、進行方向が決まっているので、磁気コンパス機能のないGNSSモジュールを使ったほうが、キャリブレーションの必要がないため使いやすい。
GNSSジャミング
あらゆる電波、GNSS放送を妨害する行為は違法ですが、GNSS波を妨害する装置が広く販売されており、インターネットを通して、誰もが1000円以下で簡単に入手できる状態であるのが現実です。トラックドライバーなどが、GNSSを利用した運行ロギングシステム(タコグラフ)を意図的に改ざんする目的などで、使用している場合があるようです。GNSS搭載機では、高速道路の近くなどで、このようなデバイスによる、GNSSへの干渉がありうることを考慮して飛行プランを考えましょう。