昔、ラジコンヘリコプターを飛ばしていた頃、ファイバー混入樹脂製のフレームと、アルミ削り出しパーツを、多用したヘリコプターがありました。サードパーティのアルミ製部品が広く販売されており、アルマイト加工された、輝く部品は、まさに購買欲をそそる商品でした。
機体の操縦が覚束ない時期は、安価な標準のプラスチック部品を使っていましたが、とりあえず、機体を壊さずに飛ばせるようになると、アルミ製部品のうたい文句である、”精密加工による、遊びの少ない、高い剛性”というフレーズに魅力を感じて、幾つか試してみました。
今も、EPツーリングカーなどは、ハイエンド品=アルミ製パーツ多用という構成になっています。
アルミ製パーツ
実際、アルミ製パーツにアップグレードすると、機械としての剛性が増します。が一度でもクラッシュしたりすると、機械としての調和が崩れて、調整ができなくなってしまいます。
その点で、樹脂製パーツは、柔軟で、少しくらいの衝撃には、耐性があり、アルミ製パーツのように、狂いが表面化しないのです。
長い目で見ると、樹脂は、空気に触れている時間や、紫外線を浴びている時間が長くなると、劣化が進んで脆くなり、折損することがありますが、少なくとも5-6年は、問題なく実用に耐えます。
特に、エンジン機のように激しい振動にさらされる機体は、金属疲労を起こし、アルミなどの金属パーツは、予想に反して、樹脂製パーツより寿命が短い場合すらあります。
何でも金属製にすることが、精度向上につながるわけではないのではないか?と考えています。
3Dプリンター
この話題を取り上げた理由は、3Dプリンターのプラ製パーツを、アルミの削り出しパーツとしてサードパーティが販売しているためです。
Reprapプリンターは、オープンソースハードウェアなので、STLファイルが公開されており、誰もが、構成部品を印刷することも、素材を変えて、アップグレードパーツとして販売することも出来ますが、経験的に、アルミ削り出しパーツにすることが、必ずしも、印刷精度の向上につながらないと考えています。
印刷物の精度を上げるには、プリンター全体のトータルな精度を上げる必要があり、一部のパーツを変えることによって、剛性のバランスが崩れると、精度低下を招く要素になりかねないのです。
樹脂製部品
3Dプリンターを構成する、プリント可能な樹脂部品は、ねじ止め部位近辺で、圧力がかかる部位で、圧縮されるなど、プリントアウト直後の特性が、時間を追うごとに失われてくることが想定されますが、その様な部品は、適切に交換し、機械としての新陳代謝をすることが、精度を保つ有効な保守メンテナンス法と言えます。