ポスト・モノコック構造

モノコック構造とは、構造物の外殻で、強度を保つように設計され、自動車などで採用されている。卵の殻のように殻そのものが、構造物を支える骨格の役割を果たし、堅牢な構造を軽量で作ることができるのが特徴だ。

モノコック構造は、従来の製造方法において、低密度で高強度を両立する方法として発達してきた。

生物の骨の構造

生物の骨は、モノコック構造の一種ともいえるが、断面を見ると。負荷が強くかかる部位は高密度に、あまり負荷がかからな場所は、低密度に出来ている。この、外殻の内側を立体的に密度を変えながら造形できるのが、3Dプリンターの利点だ。

骨の構造と、非均一密度

スライサー

3Dcadで作ったモデルをスライサーソフトでGコードに変換する際、単純な立方体を100%充填で作った場合は、ただ、フィラメントを溶かして、四角い形に変えたに過ぎない。
3Dプリンターの強みは、その充填のしかたを自由にコントロールできることにある。

infill patterns 充填パターン

充填のパターンは、スライサーソフトの持つテンプレートを利用することも出来るが、生物の骨の構造のように、よりメリハリをつけた密度配分をして、軽いのに、高い剛性がある造形物を、必要な数作ることができる。

これこそ、3Dプリントで作った造形物のメリットです。充填パターンは、プリセットされたパターンだけではなく、任意に設計することもでき、プリントした後に掛かる、応力に応じて積層構造と、パターンを組み合わせることで、低密度高剛性を実現できる。

自然界の構造物の仕組み

動物の骨と同様、植物の幹や、茎などの構造を充填パターンにとり込むことによって柔軟性と剛性を両立することも出来る。

植物の茎のように水分を循環させる構造を作りむなど、構造的な模倣だけではなく、機能的な機構を作り込んでいくことも可能だ。

ジャイロイド

ジャイロイドは、蝶の羽や細胞内の膜内にも見られる自然発生の構造を模したもので、多くのインフィルタイプに対するジャイロイドインフィルの利点は、 軽量で、且つ剛性を保つことができることです。

ジャイロイドや、ハニカムなどのようにすでに自然界の動植物の構造を取り入れた、充填構造は、多くのスライサーで、選択できる充填パターンです。

均一で、フィラメント使用量を押さえた充填パターンは簡単に利用することができるが、自転車のフレーム等を考えた場合、現在のカーボンフレームは、外殻で支える、モノコック構造に過ぎない。

3Dプリントのインフィルパターンを積極的に利用して充填構造を再構築すれば、より軽量で、生物の骨格構造に近い、無駄のない軽量なフレームができるのではないかと考えている。

卵を超える

初めて、モノコック構造を超える、素材の持つ特性を最大限、生かす、複雑な応力を柔軟に分散し、剛性と柔軟性を備えた、機能性構造物ができる出発点が、3Dプリントととらえてはどうだろうか。

充填密度を、能動的に変化させる試み

コメントを残す