政府がドローン操縦の免許制度を2022年にも設ける方針を固めたことが30日、分かった。操縦者の目が届かない距離で、市街地上空を飛ばす場合などには取得を必須とする方向だ。
共同通信3月30日
この記事を受けて
政府が、ドローン操縦の免許制度を2022年に設ける方針を固めたと、3月30日に共同通信が報じた。操縦者がドローンを目視せずに市街地の上空を飛ばす場合は、免許を必須とするという。
ITmedianews3月30日
操縦者がドローンを直接見られない範囲で操縦する目視外飛行は、主に4G LTEや5Gのモバイルネットワーク経由でドローンを操縦する仕組み。広域監視や点検、農業などの業務用途で、大手通信事業者などがサービスを開発、実証実験を行っている。現在も目視外飛行には国土交通大臣の承認が必要。
これは、どういう意味なのか?モバイルネットワーク経由?アマチュア無線で、アマチュアテレビ局を開局して、視聴者1人で操縦する、FPVは、どのような扱いになるのだろう。アマチュア無線を使ったFPVは認めないのか?または、ドローンの操作は、もはやアマチュアには関与させないという意味なのだろうか。
リモートID義務化
情報が少なすぎて、何とも言えないが、日本政府は、アメリカのリモートID義務化をそのまま導入したいようだ。アメリカの草案は、すべての飛行模型にはリモートIDの搭載が必要で、それによって、いつどこで誰が飛ばしているのかを監視する仕組みだ。実機にも同様のシステムがある。Flightrader24でおなじみの、ADS-Bだ。その周波数を、UAVと共有させたくないので、UAVは位置情報を含むテレメトリーを携帯回線で一括管理しようとする意図なのだろうか。
通信のデジタル化
日本以外の国では、FPVのデジタル化が急に進んでいる。デジタルはアナログに比べ、ノイズやジャミングに対して強く、通信の秘匿性も格段に向上する。
私のように空撮を生業としていない、普通のホビイストは、業務用無線発信局の開局をする合理的な理由がないので、アナログFPVからの移行は考えていない。
ただ、FPVなので飛行許可申請をして承認を受けることは、今まで通りだが、専ら遊興のためにドローンを飛ばすことを認めないような制度設計を国が進めているのならば、今までに投資したお金や時間は、すべて無駄になる。
あくまでも、業務用の免許制度なのか、あるいはアマチュア無線と同様にホビイストも免許が必要なのか、非常に重要なポイントだ。
政府は何を目指しているのか
国が、もし、リモートIDの義務化を織り込んで携帯回線を使ったドローンとオペレーターとの相互通信しか認めないようなプランを前提に免許制度を考えているとしたら、このホビーは、終わりだ。
機体と送信機、双方にSIMあるいはeSIMが必要になる。考えてほしい。現在、国産の携帯電話メーカーは存在しますか?
普通のホビイストが、FPVのため、新たな回線契約を、機体毎にしますか?どんなパケットメニュー?
5G
5Gは、低レイテンシーで大容量がポイントであるので、FPVの操縦も問題がないのだろう、たぶん。一時、5Gの導入に対して、政府は、アメリカに倣って、中国製の、特にファーウェイやZTEの端末、レピーターを制限するような、ふるまいを見せた。
その理由は、これらのメーカーは、欧米の情報機関関係者やサイバーセキュリティ関係者の間で、以前から取り沙汰されてきたように、サイバーセキュリティの脆弱性への懸念だ。
ファーウェイは1987年、人民解放軍の通信部門研究を担う情報工学学校でトップを務めたこともある任正非によって、広東省深センに設立された。
2018年の8月には、米国防権限法により、あらためて米政府や関係機関でファーウェイとZTEの機器の使用を禁じた。
ドローンに関してもアメリカは、上記と同じ理由で、既に2017年から軍でのDJI製のドローンの使用を禁止している。
独立国家としての主権
つまり国の基本インフラである通信網を特定の国が自由に監視、コントロールできる状態にはさせない という独立国家としての主権の主張である。
ドローンの免許制が実現して、まず考えられるのは、セルラーモジュールを搭載した安価なドローンを作れるのは、中国の会社以外に存在するのだろうか?という問題だ。
なぜ、我々の国の政府は、中国の一企業と、国家資格という公益性の高い資格認証を行なおうとしているのか、理解に苦しむところである。
ドローンに免許が必要な時
ちなみに現在、ドローンスクールが資格認定しているものは、あくまで民間資格で、漢字検定や、スキーの検定等と同じレベルの資格である。
ドローンを飛ばすために免許は必要ないし、そのような国家資格は今現在存在しない。
また、オリンピックが延期されるような、世界的な疫病がまん延している中、このような法律だけが、当事者である、ホビイストを除いて、着々と整備されていくことが、受け入れがたい。
これは、あくまでも、私の考える最悪なシナリオだが、今後出てくる、より具体的な制度の体系によっては、別な趣味を考えざるを得ない。