タイムラインにこのようなtweetが流れてきて驚きました。よく見ると、赤いボンベが2本付いています。過去にかかわった、ある水素プロジェクトの経験より、申し上げますと、わざわざ水素を使うんだったら、実機をチャーターしたほうが安いですよ!と申し上げたいです。
経産省がらみのプロジェクト
経産省がらみのプロジェクトは、センスが無いので、経験的にこけます。大阪万博の時に、経産省が肝いりで推し進めていたのは、太陽熱発電でした。その名もプロジェクトサンシャイン。通商産業省が国家プロジェクトとして1974年に策定し推し進めました。
鏡で、太陽光をタワーに集め、その熱でタービンを回したり、スターリングエンジンを回したりする発電ですが、大こけし、経産省では、いまだにスターリングエンジンがタブーになるほどです。
水素
実は、水素のほとんどは、石油か天然ガスから作られる化成水素です。水素は燃やすと水しか出ないクリーンエネルギーと言われていますが、製造時に二酸化炭素を出すので、実態は全く違います。石油は、素直に石油として使うほうが、効率が高いのです。
風力発電で作った電気を使って、水を電気分解して作った水素など。。誰も使えません。敢えて水素を使うのは、現在の技術レベルで考えると、ぜいたくなエネルギーの無駄遣いです。
ファンタジープロパガンダで、オリンピックなどで、公開実証実験などが行われる、あるあるネタです。オリンピックが延期された今、水素はどこで入手するのでしょう?
稼働中の水素ステーションはたったの1か所
2020年4月20日現在で、関東圏の移動水素ステーションも含めた稼働中の水素ステーションは、たったの一か所です。
オンサイト発生器
いやいや、小規模の需要に対しては、オンサイト発生器を使うんですよ。と必ず言われます。小型のオンサイト発生器とはどれくらいの物か、ご存知でしょうか?
そして、生成した水素は、圧縮するなり、液化するなり、いずれにしてもそれなりに本格的な装置が必要です。
リチュウム電池は、確かに容量が限定されていますが、現在、関東で、移動式の水素ステーションが43か所もあるのに、一か所しか稼働していない、栃木県の水素ステーションまで汲みにいくのでしょうか?
水素保存は難しい
経産省のガイドラインによると、
水素ドローンの製造者・販売者
・適切な高圧ガス容器及びドローン機体を使用すること
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200410002/20200410002.html
・ドローンが万一落下した場合に容器の安全性を確保する措置を講じること
・ドローンの管理者・操縦者の適切な能力及び運用の担保に責任を負うこと 等
なかなか、SiFiなことですね。適切な高圧ガス容器ってどんなものでしょう。適切な機体って何でしょう?
水素ドローンの管理者・操縦者
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200410002/20200410002.html
・高圧ガス容器を温度40度以下に保持すること
・湿気、水滴による高圧ガス容器の腐食を防止すること 等
その前に、水素は入手できるのか疑問です。水素の扱いは、大変難しいです。
圧縮水素ガスは、その使用量などに応じて、いくつかの形態の容器で供給されるのが普通です。 下記に圧縮水素ガスの供給形態を示します。圧縮水素ガス容器に取り付けられるバルブは、導管への誤接続防止のため、通常の一般高圧ガスとは逆の、左ねじが用いられています。また、高圧ガス保安法により、水素の容器はその表面積の1/2以上を赤色に塗装しなければならないことになっています。
(1)シリンダー
シリンダー 小型で10Sm3以下ぐらいの水素輸送に使われているものに、工業ガス業界では単瓶(シリンダー)と呼んでいる、いわゆるボンベがあります。この単瓶(シリンダー)は内容積が50lまでのものがありますが、現状では内容積46.7l、圧力14.7MPa充填で水素容量7Sm3のものが主流となっています(このほかに、10l、3.4lタイプの容器などもあります。実験室などでの少量用途で使用されます)。
(2)カードルカードル 中型の輸送用容器として単瓶を集結したカードルがあります。内容積は46.7l×10本=467l、充填圧力14.7MPaが一般的ですが、50l×20本、30本、また充填圧力19.6MPaタイプもあります。大量に消費する場合は多くの数が必要となりますが、使用場所を移動させて使いたい場合などは、カードルであればホイストやフォークリフトなど簡単な設備で移動することができます。
http://www.iwatani.co.jp/jpn/h2/tech/technique.html
水素ドローンはダレトク?
これだけ、手のかかる、非効率な燃料を使うために、燃料を取り扱うことのできる有資格者を確保することを考えると、実機を数時間チャーターしたほうが安いという結論になるのです。ドローンの機動性が高く、臨機応変に運用できるメリットが、全く生かせないのでは、さらに意味が解りません。
いくらリチュウム電池の入手性が悪いといっても、水素ほどではありませんし、やはり燃料電池は、冷静に見てもFool-cell(バカ電池)です。 水素の利用は、カーボン排出量が!という声も聴きますが、製造されている水素のほとんどは、化成水素(つまり化石燃料から精製した水素)です。また、水を電気分解すると、温室化とは段違いにやばい環境負荷を与えることになります。
ダレトクかを、しいて言うと、経産省から補助金をもらって、このプロジェクトを行っている事業主だけですね。