アーサー・ヤング Arthur Middleton Young
この動画、昔から累計するとどれくらい見たことか。ダビンチのヘリコプター以降、アイディアだけではなく、本当に飛行できるヘリコプターが実現したのは、つい最近のことだ。
回転しながら、メインローターの迎角を調整できることが可能になるまでの、最大のチャレンジは、加工技術だ。ブレードの回転で生じる巨大な遠心力に耐えつつ、そのシャフトの下には、機体の全荷重が掛かる。その巨大な遠心力を生むメインブレードの迎角を、機体の安定や操縦のために回転中に変える複雑な機構を、非力なエンジンでも浮くように、そこそこ軽く作る技術。
この、ビデオの中で、黙々と模型を作り、実験と改良をしているのは、アーサー ヤング氏。彼は、数学者で、第二次世界大戦後、哲学者になってしまった興味深い人物だ。
ヘリコプターは、金属加工技術の賜物でもあります。ベルのこのビデオは、アーサーヤング氏の、試行錯誤と、その様な試行錯誤を、淡々と記録していて面白い。
リモコン
斬新さを感じるのは、リモコンの模型を使って、コントロールに必要な、基礎的な要素を絞り込んでいくところだ。
初期の段階では、テールローターはコントロールしていない。がジャイロで、機首の向きが変わると当て舵を当てるようになっている。
スワッシュプレートは、電磁石ソレノイド!で、ロータースピードは、トランスを回す鉄道模型の様な機構。
その、模型を飛ばす際に、線香の様なものが置いてあるが、これは空気の流れを確認するために、わざわざ置いてあるものだ。
孤独な開発
アーサーヤングは、このような実験を父親の農場にこもって、12年も続けたのだ。この、モデルは、ほとんど、現在のヘリコプターの形が、完成されていることに驚く。
この模型では、メインローターの上に増速されたフライホイールが設置されているが、度重なる実験で、フライバースタビライザーに置き換わった。アーサーヤングは、このフライバーシステムの特許を、ベルヘリコプターに売却し、フルサイズの有人ヘリコプターを作るに至った。
Bell47
民間でも買える初のヘリコプターとなったBell47は、米軍にも採用され、朝鮮戦争で、ヘリコプターの有益性を証明した。現在の、空飛ぶクルマも、アーサーヤングの様な天才が、どこかの田舎で、着々と開発を進めているかもしれないですね。
Bellヘリコプターは、現在Bell Textron Inc.となり、V-22オスプレイをボーイングと共同開発したメーカーとして有名だ。