ラジコンヘリコプター
私が、標高200mの山の上に住んでいたころ、ラジコンヘリコプターを飛ばしていました。その時は、気圧が低いことを、肌を通して感じることができました。
まず、第一に気圧が低いと、飛行時間が、よくわかるくらい短くなります。そして、標準大気圧時よりもローターピッチをあげなければ浮きません。フレアをかけても、すっぽ抜けます。
自作FPVドローンの場合
しかし、大抵のFPVドローンは、可変ピッチ機構を備えていないので、プロペラをその条件に合わせて変えることが必要です。いろいろなプロペラを試すのも、楽しみの一つです。
一般大気密度
一般大気密度は、温度0℃、圧力0Pa(G) = 1atm(大気圧)での1立方メートルの容積の質量kgで表示します。 空気の密度は1.293kg/m3とされています。
これは、たとえ、実機であろうが、30g程度のwhoopだろうが、同じ条件です。
空気密度が均一である為、30g程度のwhoopなどは、機体重量が軽くても、プロペラが押しだす空気が少なすぎて、機体を浮かすスラスト(推力)が生めません。それを補うために、超高速でプロペラを回す必要があります。
意外とゆっくりな、実機
例えば、実機のEC145はメインローターブレードの回転数はわずか300RPM程度です。(それでも早いほう)
それに対し、65サイズのWhoopなどは72,150rpm以上の回転でプロペラを回転させなければ飛行ができません。ハチが肉眼で見えないほどの羽ばたきで飛んでいるのは、空気の密度に対し、羽根が小さい為です。
プロペラのサイズ
プロペラのサイズが、大きくなるほど、押し出す空気量が増えるので、回転数は少なくても飛行できます。例えば、5インチ機では、36,260rpm程度にまで少なくなります
プロペラブレードの枚数
プロペラブレードの枚数は、飛行特性を簡単に変えることのできる、自作FPV機の、プロペラの選択の、おいしい所の一つでしょう。初期のFPV機は、Graupner製の電動パイロン機用の薄い、細い2枚羽根を多く使っていました。
二枚羽根の特徴は、ブレードが二枚しかないので、モーターへのロードが少ないことでしょう。初期のFPVはESCが貧弱だったので、流せる電流が少なくても二枚ブレードであれば、ESCが過電流で、燃えたりするリスクが少なかったのでしょう。現在では、モーターへのロードに余裕がある為、スロットルレスポンスがとてもクイックです。そのために、タイトな飛行を好む人々から、根強い支持を得ています。
多翅ブレードの特徴
多翅ブレードは、空気を押し下げる面積がブレード枚数分増えるため、モーターへのロードは増えますが、同じスラストを生むための、ピッチを浅く、直径を小さくすることができます。デメリットとしては、飛行中に、プロペラ面を通過する空気が少なくなるので、強風に対しては弱くなります。
しかし、この特性が、グライダーや、飛行機、ヘリを飛ばしていた人にとっては、非常に飛ばしやすく感じるのです。
ブレードのピッチ
ブレードピッチには注意が必要です。ピッチが深すぎると、モーターへのロードが増えすぎて、過電流で、ESCを燃やす場合もありますし、プロペラが空気をグリップできなく、ブレード表層から気流が剥がれ、失速を起こします。ブレードストールを起こすと、音だけがうるさくその割にスラスト(推力)の出ない効率の悪い状態になります。
FPVドローンのプロペラのデザイン
翼端のねじり下げ、ウイングチップ、ボーテックジェネレーター、など、興味深いアプローチの新しいプロペラが次々と登場しています。プロペラを、いろいろ試すのも楽しいですね。
2インチ以下のプロペラは、私の経験値ですが、まあデザイン重視で、空力的な根拠がありそうなデザインでも、空気密度の観点から見ても、あまり効力はないです。ただ、ブレード数、有効面積はESCの許容電流が許す限り多い/広いほうが飛ばしやすいです。
また、3~5インチでは、3枚ブレードが、トータルバランスで優れていると思います。操縦感覚も、ラダーを切って、エレベーターで釣る感覚が、FPVドローンでも、よく再現されています。レースは知りませんが、フリースタイルで、気持ちよく飛ばせるのはやはり3枚ブレードがおすすめです。
プロペラの慣性モーメント
当然、プロペラの回転による、慣性モーメント、ジャイロ効果が生まれていると思いますが、モーターのアウターベルが生む、それに比べるとほとんど無視できる要素です。