あまりにも噴飯テクノロジーが、流れてきたのでひとこと言わせて。
“秋田県仙北市の玉川温泉。毎分9000リットル湧き出る温泉は、98℃で、胃液よりも強い、強酸性。廃アルミニュウムにこの温泉を加えると、水素が発生。これを燃料に、自動車を走らせ、ドローンを飛ばすことができます。”
毒水が新エネに変身、ドローンも車も動く!
水素を燃料になど、とんでもない。
2011年の震災後、水素のエネルギーとしてのポテンシャルの調査の為、北海道の苫前町、網走市に調査に行った。これらの自治体は、常に日本海から風が吹き付け、安定した風力発電が可能で、実際、泊原発に影響を与えるほどの出力があり、系統連系に制限がかけられている。
いつも風が吹き、むなしく風車が回っているのだが、逆潮流問題や、古い送電線の問題で電気を需要地に送れないのだ。
電気は貯めることができない
ドローンで遊ぶくらいの蓄電ではなく、工業的レベルになると電気を電気エネルギーそのモノとして保存することができない。余った電気で水を高所に組み上げ、位置エネルギーに変換して、保存するとか、ナトリュウムを使った、高熱の出る巨大蓄電池(NAS電池)とか、巨大なフライホイルに慣性力としてエネルギーを変換して保存するくらいだ。
余剰電力で、水を電気分解し、水素としてエネルギーをためる
これは、一瞬すごく理想的に聞こえませんか?
水素燃料のメリットは一般的に以下のように言われている。
- 二酸化炭素を発生しません
- 資源の枯渇がありません
- 燃料として優れています
まあ、常識的な人には、理想的なエネルギーと見えるのも無理はないでしょう。燃料電池を使えば、水素を直接電気エネルギーに戻して、副生成物として水しか出てこないという、意識高い系の人にぶっ刺さる訴求力は強力です。
水素の扱いは大変
ところが、水素は取扱いが大変不便です。水素ガスは、工業的には赤ボンベと呼ばれる赤に着色された金属ボンベで、短時間保存されます。
水素分子は、金属分子を通り抜けることができます。目の細かい網でできた瓶に水素を入れているようなものです。しかも水素が透過した金属は、脆化と呼ばれる劣化を起こしてしまいます。脆化が進むと、焼き物で作った容器のように脆くなって割れてしまうのです。
そこで最近は、非金属のコンポジット材を使った350Mpaメガパスカル 350倍、圧縮する自動車用のタンクなども、作られています。しかし、金属と同様時間がたてば、素材を通り抜けて漏れ出してしまいます。
液体水素は?
ロケットやスペースシャトルのように充填してすぐに使ってしまうのであれば、ある程度、実用的ですが、水素の沸点はマイナス253℃です。スペースシャトルのタンクの外側が、氷結しているのはそのため。ガソリンのように、液体水素を充填したとたんに、ボイルオフ(沸騰)が始まります。多くの物質と同様に液体から気体になると体積が大変大きくなります。水素の場合は800倍の体積になります。この急激に膨れ上がる体積をうまくコントロールしなければ、水素爆発を起こします。
BMWは液体水素式の自動車タンクを作りましたが、満タンにして3日たつと、半分以上気化して、爆発を避けるために空気中に投棄されてしまいます。
水素を常温で安定保存する技術が確立しない限り無理。
水素を有機芳香族と結びつけて、(メチルシクロヘキサン(MCH))というベンゼンの様な有機溶剤にして、常温保存/輸送し、必要に応じて熱触媒反応で水素と有機芳香族をオンサイトで分離して使うという方法も考案されていますが。。
水素を工業レベルで分離してはいけない。
地球温暖化で、低炭素社会を目指す動きが昨今盛んだが、水素を工業的に分解していくと、地球から水素は指数関数的に蒸散する危険性が高い。
その理由は簡単で、水素は軽いので地球の重力で大気層にとどめておくことができないからだ。
既に同じような現象が、へリュウムで起きている。へリュウムも同様、軽すぎて地球の重力によって留め置けなくて、大気中に留め置くことができなく、最近価格が高騰している。へリュウムガスは、人工的に合成ができないが、最近のMRIなどの医療用機器の冷媒として需要が急上昇。
そこから漏れたガスは、宇宙空間に放散されている。
水素、へリュウムは年間5万トン宇宙空間に放散している
大変恐ろしい量である。人類が、より大量に水素を工業生成するようになると、結果的に地球上の水がどんどん宇宙空間に放散されていくのである。地球温暖化などのレベルの深刻さではない。大気の組成が少しでも変化したり、大気の対流が少しでも変わると、悪いチェーンリアクションは速度をます。紫外線だってわずかだが、水を分解してしまっているのだ。
地球は毎年約5万トンずつ軽くなっています。しかも1年間に宇宙空間の塵が約4万トンもふりそそいでくるのに、その分を相殺してなお5万トン軽くなるのです。どうしてそんなに軽くなっていくのでしょう? そして、それは我々人間にとって問題ないのでしょうか?
地球は、年間約5万トンずつ軽くなっています。Gizmode
This artist’s impression shows how Mars may have looked about four billion years ago. The young planet Mars would have had enough water to cover its entire surface in a liquid layer about 140 meters deep, but it is more likely that the liquid would have pooled to form an ocean occupying almost half of Mars’s northern hemisphere, and in some regions reaching depths greater than 1.6 kilometres.
液体の水が火星にあった証拠 ハーバード大学
まとめ
カーボン排出制限は、最も共感を得ている、ある種の衆愚集団ヒステリーだが、水素を工業的に純化することは地球を火星化することに等しい。水素が水として存在しているありがたさを感謝しよう。燃料電池?あれは間違いなく、イーロン・マスクの言うように、Fool Cellだ!