360°動画は、いろいろなアプローチを試みてきたが、insta360oneXで決着がついたようだ。
Goproを専用のRigで6台以上束ねて360度動画を作る手法はなぜダメだったのか?
- カメラ管理の煩雑さ
- リグに起因する問題
- 全カメラを同期する難しさ
- 各カメラの露出のずれ
- ステッチング作業の煩雑さ
まず、管理がとにかく大変。すべてのカメラの設定を全く同じにそろえるところから始まる。これは充電しているところだが、一度Rigにセットすると、バッテリーが外せないので、このような形で充電することになる。
撮影後も、すべてのカメラからSDカードを抜き取って、1セッションごとのデータを6枚のカードから、その都度まとめてステッチング処理をしなければならない。
Rigの形と素材
360度をカバーするためにGoproを使う場合、最低6台のカメラが必要になる。ほとんどのRigは同じようなレイアウトになる。カメラ同士の視差が小さくなればなるほど、狭い場所での撮影が可能となる。このリグでも室内で撮影すると、近い被写体は破綻をきたしてしまう。カメラの体積分ですら、のちにステッチングした時に、絶望的な破綻を招いてしまう。
特に、Insta360-one-xは、小さなドローンに搭載しているのに、30cmも離れていないカメラ搭載機すら破綻していないのが素晴らしいのだ。
Rigの素材は、ナイロン樹脂を3Dプリントした物だが、その弾性で、カメラが別々に僅かに振動するだけで、のちのステッチングで、破綻が生じてしまうのも避けられなかった。
全カメラを同期する難しさ。
まずは、全カメラ一斉に録画をスタートするが、すべて完全にシンクロしているわけではないので、必ず、6本の動画を、シンクロさせる必要がある。これがステッチングソフトの機能差で千差万別。音やフラッシュで同期点を映し込むか、動画の動きを検出する方法があったが、同期精度を高めるために120fpsくらいの高いフレームレートで撮影する。それでも微妙にシンクロしなかった。1フレームずれているだけで違和感が生じる。
最終形態のGopto-Kolorによる360°撮影システムは、すべてのカメラの電気的同期を実装したが、やはり時代遅れ感は否めなかった。
各カメラの露出のずれ
上側に向いているカメラと下側に向いているカメラの露光が極端に違うために、カラーグレーディングしても修正しきれない場合があった。
ステッチング作業の煩雑さ
これが最も大きい差。3分の動画を撮影し、6台のカメラから3分の動画をまとめて、ステッチングし、パララックスの補正や露出調整をするのに一体どれくらいの時間がかかるだろうか?ファイルの大きさも、扱いづらさに拍車をかけた。2.7K画質で撮るとして、2.7x6=16.2Kである。ステッチングの貼りシロの部分もあるが、相当強力なPCパワーが無いとレンダリングもできない。これこそがInsta360のような専門カメラに負けてしまう決定的な原因だ。